一般社団法人 漁業ブ

TSSS2023(東京サステナブルシーフード・サミット)へ参加

今週開催のTSSS2023(東京サステナブルシーフード・サミット)へ参加してきました。

水産業界の企業やNPOなどが集まるイベントで、うに再生養殖の北三陸ファクトリーが今年のサステナブルシーフード・アワードのチャンピオンに選出されたり、ルレエシャトーと日仏シェフのセッションがあったりと色々ご縁も。漁業ブ名刺で業界キーパーソンとお会いできたり、世界視点の登壇者による最新動向の話は学びが多く、もっと日本の漁業生産者の人達ともこうした情報を共有できるといいのに、と思いました。

かつてミシュラン三つ星を返上したことでも有名な、オリビエローランジェ氏が現在副会長を務めるルレエシャトーでは、62カ国に560の加盟メンバーを持ち、サステナブルな食資源調達をリード。2010年から加盟シェフが大西洋のクロマグロの食材使用をやめるなど持続可能な水産物の調達を進め、国際的なマグロ資源回復にも現実的な影響を与えてきました。

現在、NPOと組んで若手シェフに持続可能な食材を活用する教育やコンクールなどを日本でも実施したり、シェフ向けの食材調達ガイドをアプリ提供したりしていますが、最近レッドリスト(絶滅危惧種)の天然鰻を、全体でメニューに一切載せないことを決めました。科学者の提言に基づき基づき政府などにも規制を働きかけるなど、世界のトップシェフがメッセージすることは大きな社会的影響力を持ちます。

翻って日本では、グルメレストラン・ランキング上位のお店ほど、サステナブルな魚介を使っていない傾向がある(過度な天然信仰、希少性を有り難がるなど)ことを、レフェルヴェソンス生江シェフは指摘します。

お客もそれを盲目的に支持していることで、市場原理で水産資源の枯渇に加担している構造は、以前から強く感じていることで、メッセージに非常に重みがありました。日本で今天然鰻を出せなくなったら、たぶん炎上しますよね。

これだけ食に関心が高く、食メディアが発達している国なのに、自分たちが食べているものがどんな生産者に、どう獲られ育てられているか、適切な調達がされているかを意識されていない点に大きな欠落があると感じます。

食べ物を選ぶ消費者こそ変化を生み出すチャンスがあり、そのためにはきちんと知ることが必要で、メディアの役割が重要ですよね。漁業ブの活動にも、色々ヒントを頂けました。